歌花史庵 かかしあん

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耕す人

去年の今日、こんなことがありました。

息の詰まるような甲府での生活の途中
ほんの一瞬横切ったおじさん。


以下コピペです。


*****************************************


昨日書いた自称乞食のおじさん。
彼の話はなかなか面白かったので、書き記しておこうと思う。
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朝の8時半ころ、河原の土手から青い空に浮かぶ白い月を撮っていたら、突然声をかけられた。
「何を撮ってる」
咎めるような口調ではないが、つっけんどんではあった。
見ると、古びた自転車にまたがり、垢じみた服を着た白髪の男。

自転車の荷台には大きなスコップを積み、ハンドルにぶら下げたレジ袋にはじょうろ。
野良仕事に行くのは一見して判ったけれど、百姓か、ホームレスか。

警戒しながら、あそこに月が浮かんでるんです、と答えた。

耳が遠いのか、何やら判らないやり取りを繰り返したが、ようやく朝なのに月が浮かんでいることを理解したようだ。

目が良くないらしい。

「あれは“ちゅき”か。雲に見えた」
納得すると、顔をくしゃくしゃにして笑った。

おじさんはそれから、あたしのことを訊き始めた。

すぐそこに団地があり、人通りはないけれど、誰が聴いているか判らない状態。

それでも色々、正直に答えた。
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夫の出張について来て、甲府に暮らしてひと月目、もうひと月足らずで東京に帰る事。

東京の家は池袋と答えた。
曖昧にしたかったというより、詳しく話しても解らないだろうと思った。

「東京はマンションか。おとうちゃんはなにしてる。おとうちゃんも池袋か。
会社は池袋か。大きいか。兄弟は何人か。男か、女か、仕事は何をしているか」

そんな事が、おじさんの興味の対象だったらしい。
出来る限りごまかさず、解りやすく答えた。

おじさんのおとうちゃんは、新宿で電車の船頭をしていたと云う。
船頭とは、車掌か、新宿と云うからには駅員か。

年で仕事をやめてからも、恩給で楽をして暮らし、電車に乗る時はただで幾らでも乗れたと云う。
でも死んだ、80か90で死んだと言った。

駒込に行ったことがあるとも言った。
姪御さんが住んでいるらしい。
駅からすぐの所に住んでいて、子どももいて、なんの仕事をしているのかは知らないが、その家に遊びに行ったのだと言っていた。

今は何をしてるか、と懐かしげにつぶやいたあと、もう死んでるな、と続けた。

おじさんの姪御さんなら、まだ生きている年だと思うけれど。

そのうちお兄さんの話になった。
長野で役人をしていたと云う。

この方ももう亡くなったようだ。
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「わいが中学の時に死んだ」と言っていたので、年が離れているか、姪御さんがそのお兄さんの子どもだとしたら、中学か高校を出て勤め始め、結婚して子どもが出来て間もなく亡くなったと云う事か。

でも、死んだのは年だから、とも言っていた。
中学の時に亡くなったのは、伯父か叔父かも知れない。

おとうちゃんの話はよくしていた。
駅をぐるっと回る電車、つまり山手線に乗せてもらった事、千葉の方まで連れて行ってもらった事。

よほど楽しかったようだ。
話している時の顔はちっとも楽しそうではなかったけれど、忘れられない大切な思い出であることは理解出来た。

あたしの両親の事に話が及んだ。

例によって細かい事は通じないと思ったので、父は先生、と答えると、驚いたようだった。
「先生は中学か、高校か」
「高校です」
「おかあちゃんも勤め人か」
声楽家と言っても解らないかと思い、ピアノの先生、と答えると、「ピアノの先生か!」
「お前のおかあちゃんピアノの先生か!」
「ピアノはいいなぁ!おとうちゃんは学校の先生!おかあちゃんはピアノの先生!」
そんな事を繰り返していた。
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「おとうちゃん(この場合、まーさんの事)は高校か」
高校を出て働いているのかと云う意味。
大学を出ている、と答えると、「大学か!大学出て働いているか!」
とまた繰り返す。
「お前は」と訊かれたのであたしも大学を出たと答えると
「ふたりとも大学か!それはすごいな!いいひとつかまえたな!」
と、お世辞ではなく、顔をくしゃくしゃにして笑って言っていた。

その直前には、子どもはいないと言うと、子どもだけ作って別れちまえばいい、と唐突な事を言い出していた。
別れる理由などもないし、そんな話は一切していないのだけれど、女は子どもを作って、夫と別れてしまう方がいいと思っているらしい。
何か理由があるのかと思い、仕事の話をしている時に、「おじさんは?」と尋ねた。

元の職業は言わなかったが、小指を立て、これで失敗して乞食になった、と云う。

奥さんとお子さんもいたそうだけれど、愛想を尽かして出て行ったそうだ。

なんとなく、会えなくてもどこかで暮らしているなら、それでいいんじゃないかと思った。

子どもにしてみれば、見たくない親の姿かも知れない。
でもおじさんは、服こそ垢じみているけれど不潔と云うほどでもなく、乞食と言ってもお喋りする事以外には何も乞わず、違法とは言え、河川敷に畑を作って自分で生活している。

生きることを放棄はしていない。

この素性を受け継いだお子さんは、きっと強いに違いない。
感謝しろとは言わないが、おじさんが今でも妻子の事を忘れずにいるのは確かで、女とはそう云うものと、経験上思い込んでいる素直なひとなのも確かだ。
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おじさんと話しながらゆっくり歩いている間、三人の人とすれ違った。
自転車に乗ったおじいさんふたり、中年の上品なおばさまひとり。

みんなおじさんと挨拶していた。

その時になってようやく解った。


このおじさんはきっと、この川原では有名人に違いない。

人懐っこく話しかけ、屈託なく色々な事を話し、尋ねる。
まともな応対をするひととは、すぐに顔見知りになってしまうに違いない。

けれど、あたしのような若い女は知り合いにはいないらしく、おまえは若いだろ、と何度も繰り返し、あとひと月で「池袋」に帰る事を、多少は惜しんでいるようだった。

話し続けて少し疲れてきたところ、「お前はどこに行く」と突然尋ねられた。

土手を民家のある方に降りて、田んぼの間を歩いてみようと思う、と答えると、それならそこから降りればいいと、けもの道を指差した。
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車の往来が多い目の前の鉄橋を、「中央道」と言い、そこまで行けば田んぼの向こうに見える道とつながっているから、ぐるっと回って、迷ったら直角に曲がれば川に帰って来られると教えてくれた。

しかし、目の前の道は中央道ではない。

どちらでも構わないけれど、そんな勘違いをしている事で、初めておじさんが可哀相に思えた。

けもの道を慎重に下ろうとすると、おじさんは立ち止まって、顔をくしゃくしゃにして笑い、いつまでも見送ってくれていた。

また川に来るか、また会おう、そんな事を言っていた。

お喋りにつきあった事が嬉しかったのかも知れないし、友達が増えたようで嬉しかったのかも知れない。

正直なところ、まーさん以外、話す相手もいない甲府での生活、おじさんと話すのは結構楽しかった。

自分にも他人にも甘い、家族には迷惑かも知れないけれど、憎めないひとだ。
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おじさんが、先生と呼ぶひとの話もしていた。

川の南に見える山の連なりを指差し、「あの山をずっと登る先生」がいると話していた。
大きい蛇やら、怖いものがいるので、夜中の3時には寝てしまうと云う。
おかしな話だ。
「あっちからあっちまでテントと電話を持って歩いてる」と言う山々は、歩いて行ったら半年もかかりそうな長い山脈だ。

途中で迷子になったこともあったらしい。
電話がつながらないところもあるけれど、つながるところからヘリを呼んで、5万か10万を払って救助してもらったそうだ。

お前も山行くか、と訊かれたので、遭難するような所には行かない、と言うと、すぐそこの山ならだいじょうぶだ、おとうちゃんに車で連れてってもらえばいい、おとうちゃん車か?毎日連れてってもらえ、と楽しそうに話した。
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それからあたしは、「中央道」までは行かず、田んぼの横を通って大きめの通りに出た。
そこからならなんとなく自力で帰れそうだったので、住宅街の合間を縫ってアパートに帰り着いた。

もう一度会いたいとは思うけれど、正直なところ、どう接していいのか判らない。

恐らく、世代も人生も違うあたしの話は、おじさんには面白いのではないかと思う。
けれど、誰が聴いているか判らない河川敷で、耳の遠いおじさん相手に、自分の事を話すのは危険すぎる。

本当は、おじさんの姿は何度か見かけたことがあった。
黙々と、河川敷の畑で野良仕事をしていた。

すぐ近くには、この川原で作物を育てることを禁ずる旨の看板があるが、きっと誰も咎めないに違いない。

字が読めないのかも知れない。

おじさんは東京はいい所だろうと何度も訊いてきたが、この町の方がいい、とその度答えた。

これは半分嘘だ。
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ここは廃屋の並ぶ住宅街で、田舎の風景も、活気も、古き良き時代の面影もない。
昨日は嘘をついてしまった事が、多少ひっかかっていた。

けれど今は思う。
おじさんは都会では暮らせない。

これ以上川が汚れず、おじさんには健康で長生きして欲しい。
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by ekoekolove | 2010-09-10 23:59 | 日記

ほうとう記 51 coda

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9月26日。
朝食は前の晩に買ったおにぎり。
ご当地おにぎりを買ってみた。
おいしかったけれど、朝からはちょっと重い。

疲れが出て、眠くて堪らず、二度寝してしまった。
次に起きたのは12時過ぎ。
荷物の積み込みはあらかた終わっていた。
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51日間に及んだ甲府生活にも、未練はなかった。

あるとすれば、滞在中何度も訪れた諏訪に。

甲府だけの生活では、やりきれなかったかも知れない。
まーさん以外に話すひとがいる事、色々な場所に行ける事
家庭料理を戴ける事、これにどれだけ救われたか。
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一番近い田んぼは、すでに刈り取られていた。
稲を干していない。
まーさんいわく、乾燥も機械でやるんだろうと云う事だった。
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米を取った後の藁も、ただ立てかけてあるだけ。

農作業に対する思い入れのなさを、最後まで見せつけられた気がした。
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出発してすぐに昼ご飯。
和食のファミレスに入った。

最後ぐらい、ほうとうを食べようと思ったけれど
ちょうどいい店が見つからなかった。

実家へのお土産用に、ブドウの直売所に入る。

おばあちゃんが出て来て、開口一番
「気を使うひとにやる?」
と訊かれた。

「自分で食べるとか、気を使うひとにやるんでないんだったら
揃ってないのでいいね」
「種があってもいい?」
「これ食べてみてね
洗ってないから、悪いけど口に入れんで」

言われて食べてみたベリエーと甲斐路、どちらも甘かった。

まーさんが甲斐路はあまり好きでないので
実家用に2kg、我が家用に2kg買った。

「これでいいね」
と、おばあちゃんは2kgを優に超える量りを指した。

元々2kgに量ってあった箱にも、ひと房加えてくれる。

おまけに甲斐路をひと房出して
「これも持ってけし」
と箱にいれてくれた。
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八十を超えているだろうか。

細面の、農婦と云うよりはどこぞの奥様のような
品の良いおばあちゃんだった。
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一宮御坂から高速に乗ると、登板車線に自衛隊のジープ。
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戦争さえなければ、アーミーアイテムは
究極のアースカラーとして絶賛するのだけれど。
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空自か陸自か判らないけれど、向かい合って座っているのだろうか。
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給油トレーラーが撮れなかった。
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圏央道に出てみる事にした。
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中央道にはあまりない、トンネル内の灯り。
中央道の夜の道は、近視乱視の目には緊張の道だった。
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東京ももう秋。

インテグラ一台分の荷物を運び出し、夕食は同級生の店“R”へ。
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お祭りで顔を合わせたけれど、シェフ姿のKDに合うのは久し振り。
makahaちゃんも相変わらず明るく、ようやく帰って来た気がした。

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食べたかったエスカルゴ。
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アンチョビが香る塩ピザ。
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定番のニース風サラダ。
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羊のクスクスでお開き。

まーさんはまた甲府に戻り、金曜まで勤務。

ひとりのマンションで過ごしてみても、あの町への郷愁はまるでない。

けれど、いくつかの出会いはあった。
なんだかんだ言っても、一生忘れられない経験になるだろう。


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by ekoekolove | 2009-09-26 23:13 | 繪子のお散歩

ほうとう記 44 ぽっかぽか南方見聞録

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今日はてくてく、山の上に向かって走りました。
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稲刈りシーズン真っ盛り!
こんな風景を何度も目にしました。
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こんな高い所に来てしまった。。。

最初の目的地は・・・・・
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四尾連湖(しびれこ)。

鳥を探しに来たのですが、ここではボーズ。
一時間ほど、お花を撮りながら散策しました。

朝が早かったので、段々お腹が空いて来て
次なる目的地へ。
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山間の道沿いには、こんな古い建物が点在しています。
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ちょっと車を止めて、コスモスを。
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ここにも稲が干してありました。

四尾連湖からの峠道は、崖崩れの為通行止め。
一旦下山し、大回りをして南に向かいます。
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色とりどりの稲田がきれい。
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古い街並みの中を走って行きます。
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圧巻の風景の中には、ちょっとしたホラーがありました。

おまけ画像をお楽しみに!

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身延線の線路を越えて・・・
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目的地周辺です。

5年以上前、数回訪れた下部温泉。
懐かしい懐かしい風景です。
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今度は電車に乗せてね、運転手さん。

車を駅前の町営駐車場に停め、まずは腹ごしらえ。
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和のしつらえが素敵な、ステーキ屋さんに入りました。

このお店の事は、またいずれ詳しく書きますが、一点だけ。

まーさんの頼んだハンバーグより、あたしのステーキの方が遅れて来ました。

さして時間に違いはなかったのですが、お詫びにと言ってアイスコーヒーをサーヴィスして戴き
おまけにステーキはてんこ盛りでした@@

頑張っても食べ切れず、まーさんと半分こしたぐらい。
300gくらいあったな。。。

気前がいいと云うより、優しい心使いを感じて
とても心が温まりました。

お姉さん、どうもありがとう!
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腹がくちくなったら、鳥撮り!

水のきれいな下部川で思う存分撮りました。
成果はまた今度。

ここでまたもや、不思議な出会いが・・・

「カメラマン!!」
といきなりでかい声で呼ばれたあたしたち。
振り返ると、すぐそこの旅館から出て来た、ご亭主らしきひと。

「すごいレンズ持ってるねぇ~」
とお決まりの台詞はもう慣れっこですが、おじさん
自分も写真をやるから、見に来いと言う。

見にって・・・・・
と戸惑う暇もなく、案内されたのは旅館の建物の私室。

フィルムからPCにデータを落とし、プリンタで焼いた写真を色々見せてくれました。

蛇腹のついた古ーいカメラも。

乱雑ではありましたが、古いカメラは鍵のかかるロッカーの中。
大切なものなんですね。

おじさんは風景専門だそうで、富士山やら八ヶ岳やら
素敵な写真をたくさん見せて戴きました。

カメラを持ったひとを見ると、声をかけずにはいられない
と、照れ臭そうに弁解するおじさん。

見せて戴いたのはほんの5分くらいでしたが
ずいぶんお勉強になりました。

カメラ歴40年と云うおじさん。
あたしも頑張ろう!
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続いて訪れたのは、下部温泉会館。

広くはないけれど、町外の大人でも400円で入れる日帰り温泉です。
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こんなうさたんが玄関に!
この子はネザーランドドワーフですかな。

今日は運動会だそうで、とても空いていました。
窓から川の流れが見え、鳥の声を聴きながらのんびり・・・・・

のつもりが、気になって温まったら早々に出ちゃいました。

受付のおばさんが、濡れた髪を見てドライヤーを持って来てくれました。
ここのひとはみんな優しい!

他にも、3人のひとに話しかけられた下部温泉。

レンズを覗かせて欲しいと言うおじいちゃん
電線に泊まる鳥を撮っていた時、何のとりかと訊いて来たおじさん
温泉の入り口でまごまごしていたら、車を停めて、玄関を教えてくれたおばあちゃん。

地元のひとと旅行者と、両方だったかも知れない。

けれどいずれにせよ、ここに来る度、よい思い出が増えるのも事実です。

また今度、ゆっくり来たいなー
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お日様も傾いて来たし、そろそろ帰ろうか。
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鄙びた素敵な町を通ります。
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身延線を再び渡り、甲府へ。

グロッキーになりかけていたので、前から気になっていた甘味処へ寄る事にしました。
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信玄餅で有名な、桔梗屋の喫茶です。

軽食もあるみたいだけど、お目当ては・・・
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桔梗信玄あんみつ!

信玄餅が入ったあんみつです。
ヴァニラアイスともあんことも、信玄餅はよく合う!
おいしかった~

添えてあるこぶ茶も濃い目のいいお味でした。
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半分こにしたので、あたしは抹茶ミルクもオーダー。

心も体もぽかぽか
満腹中枢も活性化し、鳥撮り欲も満たされ
大満足の南方行でした。
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by ekoekolove | 2009-09-19 23:59 | 繪子のお散歩

白い馬の棲む山

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尾白川のほとりの林の中で
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たくさんの石像に出会った。
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清涼な空気の中で、光をまとい、影を帯びる。

たくさんの登山客で賑やかな駐車場とは
別の世界のような空間。

不思議な世界に迷い込んだようだった。
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鮮やかなしでを下げた神楽殿。

賽銭箱を見つけ、手を合わせてから帰ろうと云う段になり
ようやくここが、どこだか気付いた。
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南アルプスの名峰、日本百名山、日本百景にも名を連ねる
甲斐駒ケ岳の麓であった。

今から約270年前、駒ケ岳講信者が建立したと云う。
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甲斐駒ケ岳の名前そのものが、建御雷神(タケミカツチノカミ)から生まれた
天津速駒(アマツハヤゴマ)と云う白馬が住んでいた事に由来する。

尾白川は、この白馬の尾の意味だ。
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入口の看板には、甲斐駒ケ岳は、信州の今右エ門の次男で
後に弘幡行者開山偉力不動尊となる、権三郎と云うひとが開山したと書いてあった。

祭神はスサノオノミコトとオオアナミチノミコト。
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甲府滞在の無事をお願いして神社をあとにした。
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Chelidonium majus L. var. asiaticum (Hara) Ohwi
クサノオウ。
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ミズヒキの群生が見事だった。
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豪華な花を咲かせる、キンミズヒキ。
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季節の花で溢れる、素敵な場所だった。
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白いおんまさん、見なかった?
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by ekoekolove | 2009-09-18 21:39 | 繪子のお散歩

川に向かって

尾白川渓谷の文字に誘われて、20号を左折した。
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赤いミズヒキとキンミズヒキが咲き乱れる
緑の道。
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白いミズヒキは初めて見た。
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静かな佇まいと、遠くから聞える川の音

ツアーらしきグループの引率者は
自分の足を見て歩く事
足を滑らせたら、そのまま100m滑落する事を
説明していた。
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ここから登れば、そんな道を歩けるらしい。
熊もいると云う。

あたしたちは、パス。
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ここでも会えた、クサコアカソ。

数分歩いて、川辺に出た。
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水は澄んでいたが、錆びたような石の色が
周囲にそびえる山の厳しさを物語ってうるようだった。
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ママコノシリヌグイは朝日を浴びて。
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光と戯れるエノコログサ。
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川に流れ込む小川は、冷たく、清涼。
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ハクサンフウロかと思ったら、ゲンノショウコ。
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あなたはどなたですか。
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ちょっと怖い吊り橋。

渡ってみよう。
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滔々と流れる尾白川。
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日本名水百選に名を連ねる川。
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ビー玉のような飛沫を上げて。
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実を結び始めたノブキ。
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清流でいつも会う、かわいい子。
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’09.09.05撮影


ここがどこかは、またいずれ。
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ほうとう記 42はこちらをクリック!
by ekoekolove | 2009-09-17 23:59 | 繪子のお散歩

ケーキ!ケーキ!ケーキ!

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郵便屋さんが運んでくれた、すてきなすてきなプレゼント!
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パッケージには、こんなかわいいアイディアも。
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一筆箋のお手紙は、こんな風に巻かれていました。
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小さな封筒の中身は、ふうせんかずらの種!
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ハートのついた夢いっぱいの種です。

送られてきたものは・・・
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ケーキ!ケーキ!ケーキ!

いつも素敵なアイディアとひらめき満載で、楽しくブログを拝見させて戴いている
meiさんの手作り!

食べちゃいたいくらいかわいいけれど、これは食べられません。

見るだけ~


先月、このようなスイーツグッズを集めて
meiさんのアレンジで、ウィンドーディスプレイをしようと云う企画を立てられました。

早速参加を表明したところ、参考に、とメインになるこの子たちを送って下さったのです。

初めて拝見した時、あまりのかわいさに自分で作ろうか・・・
と思い詰めたほどだったので、戴けるなんても~ぅ嬉しくて!
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今日のおやつはこれ!
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まーさんにも分けてあげます。
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繪子には大盤振る舞いだぁ~
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ちなみに、後ろはあたしが製作中のもの。

軽量紙粘土のブッシュドノエルです。
まだ飾り付けは全くしていない状態ですが、今月中にはお届けできます。

採用されるかは判りませんが~

お店には売っていないような、思いっ切りラヴリーなケーキにする予定!

meiさん、どうもありがとうございました!


ほうとう記はバナーの下からどうぞ。
今日は怖い話です。
写真も超張り切ったよ!
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ほうとう記 41はこちらをクリック!
by ekoekolove | 2009-09-16 23:59 | 繪子のお散歩

みみほうとう

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“みみ”は山梨県南巨摩郡鰍沢町の秘境十谷に於いて、源氏の武将が作って食し
戦勝を祝ったと云う故事から、祝いの日の代表的な食事として伝えられています。

その形が、農具の箕(み)に似ている事から、福をすくい取ると云う意味を込めて福箕(ふくみ)となり
これが転じて“みみ”になったと言われています。

元旦の朝、その年の福を全部すくうと云う縁起を担いで、“みみ”を食べると云います。
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東京から甲府に戻って来た日曜日
談合坂SAの売店で発見しました。

普段買っているほうとうは、麺だけのもので、二人前300円くらい。

これはスープがついて840円。

割高だと思いつつも、即買いました。
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ほうとうは三人前で、何故かふたつに分かれて包装されています。
今日は一袋と“みみ”、スープふたつだけ使うので、そう考えれば高くはないかな。
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これが“みみ”。

本来は、かぼちゃ、里芋、大根、牛蒡など、季節の野菜を中心に
具を入れるようですが、季節が半端なのと、かぼちゃを入れると甘くなるので
今回はコレら。
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赤茄子、えのき、長葱、茗荷。

映っていませんが、いんげんも。
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これが赤茄子です。
30cmもある長い茄子。
スーパーで見かけて初めて買いました。
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白州の水を使った豆腐は、奴で戴きます。
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味が判るように、梅肉を載せただけ。

味が濃くておいしいお豆腐でした。
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これも初めて見ました。
“ささげ”の葉っぱ、“ささげ菜”。
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こんな葉っぱ。
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豆がついています。
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レンジ地獄で加熱。
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袋には、醤油と胡麻油でお浸しに、と書いてありましたが
塩と胡麻油、かつぶしで和えました。

しっかりした豆の味でおいしい。
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野菜は茗荷を除いて、電子レンジで加熱。

狭い台所なので、作り易い段取りを立てました。
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まずはほうとうを茹でます。
6~8分とかいてありましたが、短めで5分。

茹ったら器に盛っておきます。
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“みみ”投入。
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続けて野菜を入れ、“みみ”に火が通ったら
味噌味のスープを入れて少し煮ます。

味見をしたら少し甘めだったので、味噌を足しました。
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味噌味は初めて作りましたが、これもおいしい。

販売元は勘助本舗

縁起を担いで、今度は元旦に作りましょうか。
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by ekoekolove | 2009-09-14 23:51 | 繪子のお散歩

わっしょいアイス?

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お祭り二日目

昨日は雨で中止になった子ども神輿。
今日は気合いを入れて頑張ろう!
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まだ抱っこの小さな子も、かわいいダボを着せてもらって。
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女の子は髪を結い、目尻に朱を挿して。
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ママ手作りのダボでおめかし。
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とん とん とん かかっか
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とととん とん かかっか

山車の上では太鼓をたたいて。
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ぼくも乗りたいなー、と、予備軍も控えています。
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わっしょいと大人が囃す声に
わっしょいと返す子どもたち。
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おとうさんはベランダから見守ります。
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だけど今日はこんなお天気!
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ふと気づいたら、子どもの掛け声がなんか変?
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わっしょい ☓☓☓
???

よーく聞いてみると
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わっしょい アイス! わっしょい アイス!

見事なチームワークでアイスをおねだり!

頑張ったもんね!

涼しい今年はアイスを用意してなかったけれど
きっと買ってもらえるよ!
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甲府に戻る為、途中退場したあたしたち。
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心残りは紅白のポップコーン!

来年は担いで働いて、浴びるほど飲むぞー!!!!!!!!!!!!!
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東京に心を残して、いざ甲斐の国へ。
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暑い。。。。。

確かにアイス食べたい@@@
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代りに、勘助団子を食べました。

あともう少しの甲府生活です。
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by ekoekolove | 2009-09-13 21:46 | season

ほうとう記 36 実るほど、こうべを垂れる

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獅子殿を出てすぐの家。

たまにはこんな、風情のあるお宅もあります。

今日は東京に帰るせいか、気ぜわしくて困った。
いつも記事は、投稿画面にダイレクトに書くのだけれど
今回は時間をかけて書きたかったので
メモ帳に書き出したのが朝の9時だか10時だか。

書き終わって写真を用意しても、まだ有り余る時間。

お散歩に出る事にしました。
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これはサフランかなぁ?
こんな時期に咲くんだっけ?

そう思って調べたら、サフランは大量摂取すると危険だと書いてあった。
去年だったか、サフランを育てて黄色いしべを取ったけれど
そんな事は知らなかった。

もちろん、死ぬほどの量は採れないけれど。
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草に埋もれる公園。
遊具の周りは意外と、草が低かった。
とは言え、こんな公園で子どもを遊ばせる親はいないだろう。
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クレマチスの秋の姿。
これはこれで美しいと思った。

今日の散歩は目的があった。
昨日ぶらぶら歩いて見つけたショートカット。

車でしか行けないと思っていた場所が、そこを通れば近い事が判った。

目的地まで、目印を見失わないようにてくてく歩いた。
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大きな水路を発見。

川瀬さんが好みそうな枝も張り出していたけれど
そう簡単には会えなかった。

もしかしたらいるかも知れない。
朝早く行って確認したい。
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こちらは、隣が田んぼで明るい水路。
枝についた白いものは花のようだった。
こんな季節に、梅のような白い花。

なんだろう。
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目的はこれ。
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この辺りで唯一、稲を刈り取った田んぼ。
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こんな風に干すのか。
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甲府に来なければ見られなかった風景。

この稲を収穫する為に、一体どれだけの期間働き続けるのだろう。
機械がやってくれるとは言え、脚を水に浸しての作業もあるだろう。

コクゾウムシに怯えている場合じゃない。
大切に戴かなきゃ。
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今年はなかなか出会えなかったほおずき。

ほおずきと云う言葉も好きだ。
ほおずきと云う言葉自体が、ぼんぼりのような色と響き。
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百日草はまだ咲いていた。
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子どもの絞りの帯のような、赤い千日紅。
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原産地のメキシコには、こんな鮮やかな花が自生しているのか。
あどけない色。
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まーさんの帰宅後、もう使わない物を車に詰め込み
東京に向けて出発。

ファミレスで夕食を取ろうと、20号を走りながら探したけれど
一軒もない。

とうとう市街地を抜けて、中央道のICに来てしまった。
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結局談合坂SAで夕食。
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何やら、イタリア風の造り。
DANGOZAKAなら女性形だから定冠詞はLaなのだけれど。
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コンセルジュはフランス語ではないか?

いちゃもんをつけるつもりはないけどね。
結果いちゃもんか。
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東京ではまだ、働いているひとがいるらしい。

八王子を過ぎてたくさんのネオンが見えた時は
少なからず感動した。

何にって、例えば甲府しか知らないひとは
これを見ただけでもカルチャーショックだと思う。

気持ちが解った。

あたしはネオン、そんなに好きではないけれど。
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年に数日だけ見られる、秋の夜桜。
これを見る為に帰って来ました。


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by ekoekolove | 2009-09-11 23:59 | 繪子のお散歩

耕すひと

昨日書いた自称乞食のおじさん。
彼の話はなかなか面白かったので、書き記しておこうと思う。
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朝の8時半ころ、河原の土手から青い空に浮かぶ白い月を撮っていたら、突然声をかけられた。
「何を撮ってる」
咎めるような口調ではないが、つっけんどんではあった。
見ると、古びた自転車にまたがり、垢じみた服を着た白髪の男。

自転車の荷台には大きなスコップを積み、ハンドルにぶら下げたレジ袋にはじょうろ。
野良仕事に行くのは一見して判ったけれど、百姓か、ホームレスか。

警戒しながら、あそこに月が浮かんでるんです、と答えた。

耳が遠いのか、何やら判らないやり取りを繰り返したが、ようやく朝なのに月が浮かんでいることを理解したようだ。

目が良くないらしい。

「あれは“ちゅき”か。雲に見えた」
納得すると、顔をくしゃくしゃにして笑った。

おじさんはそれから、あたしのことを訊き始めた。

すぐそこに団地があり、人通りはないけれど、誰が聴いているか判らない状態。

それでも色々、正直に答えた。
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夫の出張について来て、甲府に暮らしてひと月目、もうひと月足らずで東京に帰る事。

東京の家は池袋と答えた。
曖昧にしたかったというより、詳しく話しても解らないだろうと思った。

「東京はマンションか。おとうちゃんはなにしてる。おとうちゃんも池袋か。
会社は池袋か。大きいか。兄弟は何人か。男か、女か、仕事は何をしているか」

そんな事が、おじさんの興味の対象だったらしい。
出来る限りごまかさず、解りやすく答えた。

おじさんのおとうちゃんは、新宿で電車の船頭をしていたと云う。
船頭とは、車掌か、新宿と云うからには駅員か。

年で仕事をやめてからも、恩給で楽をして暮らし、電車に乗る時はただで幾らでも乗れたと云う。
でも死んだ、80か90で死んだと言った。

駒込に行ったことがあるとも言った。
姪御さんが住んでいるらしい。
駅からすぐの所に住んでいて、子どももいて、なんの仕事をしているのかは知らないが、その家に遊びに行ったのだと言っていた。

今は何をしてるか、と懐かしげにつぶやいたあと、もう死んでるな、と続けた。

おじさんの姪御さんなら、まだ生きている年だと思うけれど。

そのうちお兄さんの話になった。
長野で役人をしていたと云う。

この方ももう亡くなったようだ。
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「わいが中学の時に死んだ」と言っていたので、年が離れているか、姪御さんがそのお兄さんの子どもだとしたら、中学か高校を出て勤め始め、結婚して子どもが出来て間もなく亡くなったと云う事か。

でも、死んだのは年だから、とも言っていた。
中学の時に亡くなったのは、伯父か叔父かも知れない。

おとうちゃんの話はよくしていた。
駅をぐるっと回る電車、つまり山手線に乗せてもらった事、千葉の方まで連れて行ってもらった事。

よほど楽しかったようだ。
話している時の顔はちっとも楽しそうではなかったけれど、忘れられない大切な思い出であることは理解出来た。

あたしの両親の事に話が及んだ。

例によって細かい事は通じないと思ったので、父は先生、と答えると、驚いたようだった。
「先生は中学か、高校か」
「高校です」
「おかあちゃんも勤め人か」
声楽家と言っても解らないかと思い、ピアノの先生、と答えると、「ピアノの先生か!」
「お前のおかあちゃんピアノの先生か!」
「ピアノはいいなぁ!おとうちゃんは学校の先生!おかあちゃんはピアノの先生!」
そんな事を繰り返していた。
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「おとうちゃん(この場合、まーさんの事)は高校か」
高校を出て働いているのかと云う意味。
大学を出ている、と答えると、「大学か!大学出て働いているか!」
とまた繰り返す。
「お前は」と訊かれたのであたしも大学を出たと答えると
「ふたりとも大学か!それはすごいな!いいひとつかまえたな!」
と、お世辞ではなく、顔をくしゃくしゃにして笑って言っていた。

その直前には、子どもはいないと言うと、子どもだけ作って別れちまえばいい、と唐突な事を言い出していた。
別れる理由などもないし、そんな話は一切していないのだけれど、女は子どもを作って、夫と別れてしまう方がいいと思っているらしい。
何か理由があるのかと思い、仕事の話をしている時に、「おじさんは?」と尋ねた。

元の職業は言わなかったが、小指を立て、これで失敗して乞食になった、と云う。

奥さんとお子さんもいたそうだけれど、愛想を尽かして出て行ったそうだ。

なんとなく、会えなくてもどこかで暮らしているなら、それでいいんじゃないかと思った。

子どもにしてみれば、見たくない親の姿かも知れない。
でもおじさんは、服こそ垢じみているけれど不潔と云うほどでもなく、乞食と言ってもお喋りする事以外には何も乞わず、違法とは言え、河川敷に畑を作って自分で生活している。

生きることを放棄はしていない。

この素性を受け継いだお子さんは、きっと強いに違いない。
感謝しろとは言わないが、おじさんが今でも妻子の事を忘れずにいるのは確かで、女とはそう云うものと、経験上思い込んでいる素直なひとなのも確かだ。
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おじさんと話しながらゆっくり歩いている間、三人の人とすれ違った。
自転車に乗ったおじいさんふたり、中年の上品なおばさまひとり。

みんなおじさんと挨拶していた。

その時になってようやく解った。


このおじさんはきっと、この川原では有名人に違いない。

人懐っこく話しかけ、屈託なく色々な事を話し、尋ねる。
まともな応対をするひととは、すぐに顔見知りになってしまうに違いない。

けれど、あたしのような若い女は知り合いにはいないらしく、おまえは若いだろ、と何度も繰り返し、あとひと月で「池袋」に帰る事を、多少は惜しんでいるようだった。

話し続けて少し疲れてきたところ、「お前はどこに行く」と突然尋ねられた。

土手を民家のある方に降りて、田んぼの間を歩いてみようと思う、と答えると、それならそこから降りればいいと、けもの道を指差した。
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車の往来が多い目の前の鉄橋を、「中央道」と言い、そこまで行けば田んぼの向こうに見える道とつながっているから、ぐるっと回って、迷ったら直角に曲がれば川に帰って来られると教えてくれた。

しかし、目の前の道は中央道ではない。

どちらでも構わないけれど、そんな勘違いをしている事で、初めておじさんが可哀相に思えた。

けもの道を慎重に下ろうとすると、おじさんは立ち止まって、顔をくしゃくしゃにして笑い、いつまでも見送ってくれていた。

また川に来るか、また会おう、そんな事を言っていた。

お喋りにつきあった事が嬉しかったのかも知れないし、友達が増えたようで嬉しかったのかも知れない。

正直なところ、まーさん以外、話す相手もいない甲府での生活、おじさんと話すのは結構楽しかった。

自分にも他人にも甘い、家族には迷惑かも知れないけれど、憎めないひとだ。
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おじさんが、先生と呼ぶひとの話もしていた。

川の南に見える山の連なりを指差し、「あの山をずっと登る先生」がいると話していた。
大きい蛇やら、怖いものがいるので、夜中の3時には寝てしまうと云う。
おかしな話だ。
「あっちからあっちまでテントと電話を持って歩いてる」と言う山々は、歩いて行ったら半年もかかりそうな長い山脈だ。

途中で迷子になったこともあったらしい。
電話がつながらないところもあるけれど、つながるところからヘリを呼んで、5万か10万を払って救助してもらったそうだ。

お前も山行くか、と訊かれたので、遭難するような所には行かない、と言うと、すぐそこの山ならだいじょうぶだ、おとうちゃんに車で連れてってもらえばいい、おとうちゃん車か?毎日連れてってもらえ、と楽しそうに話した。
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それからあたしは、「中央道」までは行かず、田んぼの横を通って大きめの通りに出た。
そこからならなんとなく自力で帰れそうだったので、住宅街の合間を縫ってアパートに帰り着いた。

もう一度会いたいとは思うけれど、正直なところ、どう接していいのか判らない。

恐らく、世代も人生も違うあたしの話は、おじさんには面白いのではないかと思う。
けれど、誰が聴いているか判らない河川敷で、耳の遠いおじさん相手に、自分の事を話すのは危険すぎる。

本当は、おじさんの姿は何度か見かけたことがあった。
黙々と、河川敷の畑で野良仕事をしていた。

すぐ近くには、この川原で作物を育てることを禁ずる旨の看板があるが、きっと誰も咎めないに違いない。

字が読めないのかも知れない。

おじさんは東京はいい所だろうと何度も訊いてきたが、この町の方がいい、とその度答えた。

これは半分嘘だ。
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ここは廃屋の並ぶ住宅街で、田舎の風景も、活気も、古き良き時代の面影もない。
昨日は嘘をついてしまった事が、多少ひっかかっていた。

けれど今は思う。
おじさんは都会では暮らせない。

これ以上川が汚れず、おじさんには健康で長生きして欲しい。
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今日のほうとう記は、のちほどアップします。
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by ekoekolove | 2009-09-11 17:52 | 繪子のお散歩