歌花史庵 かかしあん

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繪子譚日日新聞

読みきり小説  月灯り
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わたくしは、元を質せばみなしごでございました。
幼少のみぎり、主人に拾われ、育てて戴いたのでございます。

主人はそれはお優しい方で、わたくしの生活の世話は勿論、教育もきちんと授けて下さいました。何もかも、わたくしの生活に必要なものは取り揃えて下さったのです。
ただ、拾われたときに怪我を負っていたからでしょうか、お屋敷の敷地から外に出ることだけは、堅く禁じられておりました。
お屋敷を訪れる方の中には、閉じ込めておくのは問題ではないかと仰る方もいらしたのですが、わたくし自身、外の生活には興味がなかったのでした。
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これは主人にお聞かせ戴いたことで、実際には自分の記憶にはないのかも知れませんが、わたくしはどうやら、車に撥ねられて大怪我をしているところを、主人に助けて戴いたらしいのです。
小さかったので確たる記憶はないのでございますが、そのときの恐怖がそのまま、お屋敷の外に出ることへの抵抗になっているように存じます。
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わたくしにとっては、主人の大きなお屋敷は十分な広さで、そこで一生を過ごすことにはなんの抵抗もございませんでした。

けれども、ただ一点だけ、これが青春と云うものなのでしょうか、いつもなら相手になどしない、お屋敷見える殿方に、心強く惹かれることが時々あるのでした。
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今はもう、年も取り、そのような気の迷いはございませんが、殿方に誘われると、いっそこの方に着いてゆき、外に出てみようか、などと云う気を起こしたのです。

主人は、そのような場面に出喰わすと烈火の如き勢いで怒り、二度とその殿方が来られないよう、万端策を講じるのです。

少女の頃はそのような扱いに傷ついたことも確かにございました。

けれども、それはいつも一時的なことで、食べるものもなく、夏の暑いさなかや真冬の厳しい季節を屋外で過ごさなければならないことを考えると、お屋敷の中はまるで天国なのでした。
他家と比べれば豪華であったろう毎日の食事、特別にしつらえて戴いた私室、見て回るだけでも十分に運動が出来るだけの広いお庭、主人の優しさは他の何ものにも換えられぬ、思春期の好奇心すら奪ってしまうだけの居心地の良さでした。
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今こうして当時のことを思い出すのは、今の身の上を鑑みるととても辛いことです。

唯一、頼みの綱だった主人が亡くなり、老いた今になってあのお屋敷を追われ、毎日の食べ物にも事欠く生活。

どうしてわたくしをひとり置いて逝ってしまわれたのか、悔しさに主人をお恨み申し上げたこともありました。

けれども、主人はわたくしのあとのことは、十分に面倒を見てやって欲しいと、生前親戚の方々に頼んで下さっていたのです。

それを反古にし、わたくしを追い出したのは、あの親戚の方々でした、。

わたくしはただ、お屋敷の中で暮らしてゆければ、それだけで十分幸せだったのですが、その肝心のお屋敷は親戚の方々の手に依って取り壊され、マンションになることが決まったのだそうです。

もう充分大人なのだから、ひとりで生きてゆけるだろう、皆さまにそう、寄ってたかって言われると、反論のしようもなく、わたくしは外の世界で生きる決意をしたのでございます。

それから半年。

親戚の方の目を盗んでは、わたくしはお庭などに入り込んでおりました。
見つかればどんな目に合うか知れませんでしたが、お屋敷がそこにある以上、以前住んでいたわたくしが入ることは違法ではない筈なのです。

ただ、その理屈は親戚の方々には通じず、外で暮らすようになったわたくしはすっかりみすぼらしくなり、見つかれば何処かの施設に入れられるのは間違いないのでした。

ですから、お庭にゆくのはいつも夜が更けてから、誰にも見られぬようこっそりと。

お屋敷は鍵で堅く閉ざされ、中には入れません。
けれども、庭には物置小屋もありますし、元よりそのようなところで子どものころから遊んでいたのですから、鍵もかかっておらず、扉も開いたままの物置小屋は、わたくしにとっての貴重な寝場所となったのです。

どうしてこのようなことをお話するかと申しますと、明日、この夜が明けましたら、遂にこのお屋敷は取り壊されてしまうのです。こうなっては、もう見つかっても構いません。

最近は打ち合わせやら何やらで、親戚の方も頻繁に昼間みえるので、かえって夜は誰も泊まり込んだり、様子を見に来たりはしないのです。

わたくしはこのお屋敷の最期の姿をしかと心に留めておくべく、今日だけは、小屋の中に潜んではおらずに、あちこち見ておこうと思っております。

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出来ることなら、このお屋敷と運命を共に・・・・・

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ワタシハ月ノ明ルイ夜、友人宅カラノ歸リ、一軒ノ古イ家ヲ見ツケタ.
サシテ廣クモ無ササウダガ、一應前栽ガツイテヰル。
手入レハ行キ屆イテヰナイヤウダガ、小サナ物置ガ一ツ、幹ト、カ細イ枝ダケニナツタ柿ノ木ニ、一本ノ梅ダケガ盛ンニ咲イテヰルノガ、妙ニ不釣リ合ヒデ氣ヲ惹カレタ。

屋根ノ上ニハ一匹ノ野良猫ガ、何ヤラ哀シ氣ニ、鳴イテヰタ。


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by ekoekolove | 2008-02-29 16:04 | 繪子譚日日新聞

乙女木春

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生温い
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春の陽射しに
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焙られて
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薄紅の椿
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ほんのり
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火照る
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by ekoekolove | 2008-02-28 22:37 | waka

アテナルモノ

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ブウン
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ズボ
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ズイ
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スポ
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ング
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チュー


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by ekoekolove | 2008-02-27 18:58 | イロイロナモノ

MANDRAGORA

ムカシムカシアルトコロニ、サザンカト云フ名前ノ娘ガヲリマシタ。サザンカノ苗ヲ植ヱタ日ニ生マレタ、ソレハソレハカハイヽ女ノ子デシタ。
サザンカガ大キクナルニツレ、オ庭ノ木モ大キクナリ、娘ニナル頃ニハ、每年澤山ノ花ヲ咲カセルヤウニナリマシタ。
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ケレドモサザンカノ花ガ咲クノハ、コレカライヨイヨ寒サガ增シ、生活ガ嚴シクナル頃。サザンカハ每年、凍エル寒サノ中デ自分ト同ジ名ヲ持ツ木ヲ、少シ哀シイ氣持チデ眺メルノデシタ。
アル時サザンカハ、椿ト云フ、サザンカニ善ク似テヰル、ケレドモ葉ヤ花瓣ガ少シ厚イ、花ヲ咲カセル木ガアルコトヲ知リマシタ。ナニヨリサザンカノ心ヲ惹キ付ケタノハ、椿ハ他ノ木々ノ新芽ガ出ル頃、花ノ盛リヲ迎ヘル云フコトデシタ。
ドウシテモソノ椿ト云フ木ガ見テミタイ。サザンカハ思ヒマシタ。
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ソシテタウタウ、アル年ノ誕生日、サザンカハ冬ノ支度ヲシテ、山ノ向カウニアル云フ、椿ノ木ヲ見ニユクコトニシタノデス。
出掛ケル間際、庭ノサザンカニ別レヲ告ゲマシタガ、コレカラ會ヒニユク木コソ自分ノ木カモ知レナイト思フト、ソレホド哀シクモナイノデシタ。
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ソレカラ、ヒト月モ經ツタ頃デセウカ。サザンカハ見事ナ花ヲ咲カセテヰル、椿ノ木々ヲ見ツケタノデシタ。
ケレドモ、サザンカノ足ハモウ棒ノヤウデ、モウ一步モ動ケナイホド疲レテヰタノデシタ。
椿ノ木ノ根元マデユキタイ、サウ思ヒマシタガ、遂ニ座リ込ミ、動ケナクナツテ仕舞ヒマシタ。
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ソレナラバ、セメテ自分モサザンカデハ無ク、アノ椿ノ仲間ニナリタイ、サザンカハ目ニ淚ヲ溜メテ、サウ思ヒマシタ。
ソノ淚ガ著物ヲ傳ツテ、疲レタ足ニ流レタトキ、不思議ナコトガ起コリマシタ。
ヒヾ割レテ赤クナツタサザンカノ足カラ、絲ノヤウニ細イ根ガ生エテ來タノデス。
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ソノ根ハ見ル見ル內ニ伸ビテ、枝分カレシ、土ノ中ニ入リ込ンデヰマシタ。
サザンカノ髮ガ枝ニナリ、指マデ小枝ニナルコロニハ、心マデサザンカハ椿ニ成ツタ氣ガシタノデス。
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薄レユク意識ノ中、嗚呼、矢ツ張リアタシハサザンカデハナク、椿ダツタンダ。
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サザンカハ、サウ思ヒマシタ。
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by ekoekolove | 2008-02-26 19:32 | drowing

ヲカシキモノ

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by ekoekolove | 2008-02-25 15:45 | イロイロナモノ

繪子のひれひれおうち計画

繪子の住みたいおうち
~建物編


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門はやぱし これでしょ!
絶対これ!

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昔のおっきい農家風!

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和洋折衷のビル!

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入口はこんなだよ

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お店屋さんの後釜!

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蔦の絡まる洋館!

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3階建てだよ

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土蔵!
ぷくぷく(金魚笑)

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3階建ての屋上庭園つき!

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夜はこんな あったかい灯り

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これで鉄筋鉄骨なら言うことないんだけど



もっと探そう!
住みたいおうち!


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by ekoekolove | 2008-02-24 09:15 | おうち計画

ウルハシキモノ

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by ekoekolove | 2008-02-23 03:51 | イロイロナモノ

にゃんにゃんにゃん

にがつにじゅうににゃんにゃんにゃん
今日は猫の日にゃんにゃんにゃん
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陽だまりお寝んねにゃんにゃんにゃん
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寝起きはいいのにゃんにゃんにゃん
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なにをしてるの?にゃんにゃんにゃん?
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ちいちゃいお手てでにゃんにゃんにゃん
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桃色肉球にゃんにゃんにゃん
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もう寝かせてよにゃんにゃんにゃん
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爪が出ちゃうよにゃんにゃんにゃん
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ふんふんふんふんにゃんにゃんにゃん
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今日はにゃんの日にゃんにゃんにゃん!

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by ekoekolove | 2008-02-22 14:10 | 散文

A day of the fruits

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太陽の色を孕んで
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たわわわわわわ
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暴れん坊の丸い玉
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サイケな辛子
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あたしたち 美味しそうでしょ
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ピンクには 勝てない
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ぱちっとはぜる
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なぜか赤い 紫式部
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しゅわ しゅわ しゅわ
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by ekoekolove | 2008-02-21 22:38 | photo

繪子譚日日新聞

MM現る!

d0133693_20271243.jpg2月18日、東京都のロングビーチ30番街、繪子御殿のバルコニに巨大メジロが出現した。冬季の餓えに苦しむ雀を救済する為、家人が半分に切った伊予柑をバルコニに置き始めたのは、1週間ほど前のことだった。雀は冬場は餌が確保出来ないとの情報に依り取られた処置だったが、来るのはひよどりが大半であった。

d0133693_2185116.jpgひよどり。火夜弩離聯合提供。

d0133693_20283828.jpgこの日は正午になる少し前、一羽のメジロがバルコニを訪れた。それはごく普通のメジロだったと言う。愛らしい小鳥の来訪に喜び、家人は盛んにシャッターを切ったが、一度立ち去り、二度目に訪れた時の驚愕は並大抵のものではなかった。そのメジロは異様に腹が出、可愛く言えばおデブちゃん、はっきり言うとメタボリック症候群にかかっているとしか思えなかった。現場は一時騒然とし、パニックに陥る者もいたと云う。

d0133693_20293281.jpg[家人談]急なことだったので、撮影がうまくいきませんでした。メジロは以前にもバルコニで見たことがあります。でもあんなに大きいメジロは初めてでしたね・・・いや、考えられるのは、お腹に卵があったんじゃないかなぁと。私はただ太っていると驚きましたが、家内が卵を身籠っているんじゃないかと申しまして・・・いや、吃驚しましたよ。

尚、この巨大メジロはそれ以後目撃されておらず、メタボメジロなのか、マタニティーメジロなのかは未だ、判然としない。弊誌としては、有識者のコメントを待つ限りである。
d0133693_242491.jpg普通のフォトジェニックメジロ。1月15日小正月、井の頭公園汀にて撮影。
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by ekoekolove | 2008-02-20 02:34 | 繪子譚日日新聞