歌花史庵 かかしあん

秋を探しに

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瀕死のハゼランが言った。
「あすこの山はいいよ、スケッチするなら行ってご覧」

私はこれでも、画学生なのだ。
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まだ紅葉はしていないが、風は涼しく、もう秋だ。
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こんにちは、マユミ。
君はまだ、本当の色をしていない。
また今度描きに来よう。
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綺麗なアザミを見つけたが、蜂に突っぱねられた。
「邪魔をするなら刺すぜ」
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アキノキリンソウは、オオアワガエリと話していた。
「写真を撮るならひとこと言って欲しいわね」
「そうよ、最近はなんだって、勝手にぱちりと撮ってゆくんだもの」
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今度こそはと野菊を見ると、また蜂がやって来た。
面倒事はご免だ。
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アカバナを見つけたが、まだ紅葉していない。
私は秋が描きたい。
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ワレモコウは秋の花だ。
だが、これは花なのだろうか。
実のようにも見えてしまう。
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群生する姿も美しいが、もう少し探してみよう。
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トリカブトだ。
これも秋の花とは言い難いが、なんとも言えない魅力だ。
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実がなるとは知らなかった。
他になければ、花と合わせてモデルを頼もう。
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ノコギリソウも、夏の名残りのようでチグハグだ。
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カヤツリグサは好きだが、華がない。
華がないものはモデルにならない。
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ママコノシリヌグイとは、名前が悪い。
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心惹かれて名前を尋ねた。
「あたしはアケボノソウ」
素敵な名前だ。
花も美しい。
またあとで来ると言って先に進んだ。
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君はスカンポだろう?
そう尋ねると、この花は露骨に嫌な顔をして、そっぽを向いた。
嫌な花だ、スカンポの癖に。
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華やかな花に出会った。
名をツリフネソウと云うらしい。
この花に決めた。

すると、ツリフネソウが言った。
「秋の花をかくんでしょう。
あたしは夏の花、もう終わりよ」

はすっぱな言い方をすると、花の落ちた枝をゆすって見せた。
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白いウメバチソウ。
端正過ぎて、あまりそそられない。
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遂に見つけた。
ウドの種こそ、私の求めていたモデルだった。
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枯れて来た姿もいい。
丁重にポーズを取ってくれるように頼むと、飛んで来た虫が鼻で笑った。
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「旦那、花なんざ、風次第でポーズが変わりまさぁ。
あちこち訪ね歩いてるようですが、もうすぐ日が暮れるし
そんな事してちゃあ、秋も終わっちまいますぜ」
せっかく理想のモデルを見つけたのに、それではあんまりだ。

「ウドの種こそ私の理想だ!
持ち帰れないなら、ここに根を張ってやる!」

そう叫ぶと、どこからか声がした。

「じゃあ、そうなさいな」

私は動けなくなった。
私の新しい名前は、オオベンケイソウ。
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'09-09-05入笠山湿原

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by ekoekolove | 2009-09-29 20:39 | 散文